ハーレー用のボルトや工具がインチサイズの理由と注意点
ハーレーは独特の存在感と力強い走行性能からアメリカンバイクの代名詞として知られ、世界中に愛好者がいることで知られています。ハーレーのカスタムも一つの趣味として確立されるほど広く普及していますが、ハーレーは他の大多数のバイクと異なり、ボルトなどの部品はインチサイズで作られています。そのため、パーツ交換などのカスタム作業に使う工具もインチ規格の物を使わなければいけません。
他のバイクはミリサイズの部品が使われているので、使用する工具も一般的なミリ規格です。ミリとインチは見た目が似ている場合でも微妙に大きさが異なるので、ハーレーに使う場合はインチ規格の工具を選ばなければいけません。
ハーレーにミリ規格の工具を使うとボルトなどの部品をしっかりと固定させることができず、走行中に外れてしまうおそれがあります。他のバイクのほとんどがミリサイズの部品を使っている一方でハーレーがインチサイズにこだわっているのは、アメリカで広く普及しているヤード・ポンド法に基づいているためです。アメリカが国家として成立した時に採用したヤード・ポンド法は当時の欧州諸国でも普通に使われていた単位ですが、時代の変化に伴い、徐々にメートル法に移行しました。
しかしアメリカは工業が発展していた状況の中で単位を変えるのは良くないと判断し、そのままヤード・ポンド法を使い続けたのです。アメリカを代表する名車と評価されるハーレーが誕生したのもこの時期です。
インチサイズの部品で作られているハーレーは古き良きアメリカの象徴であり、利便性よりもアメリカ人としての誇りを優先した結果と言えます。
ミリ規格の工具が一般的な現在においてインチ規格の工具を入手するのは容易ではありませんが、アメリカ人の誇りやこだわりに敬意を持ってカスタムに取り組むのがハーレー乗りに求められる姿勢と言えるでしょう。